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AI × 営業

Clayとは?日本のB2B営業で使えるのか

Published · 2026.07.06Author · 伊藤 祐助Reading · 16 min
Clayとは?日本のB2B営業で使えるのか06 / AI × 営業

Clayとは、データエンリッチメントとGTM(Go-To-Market: 市場開拓)ワークフロー自動化のプラットフォームです。100以上のデータプロバイダーを統合し、リスト作成からエンリッチメント、スコアリング、アウトリーチ連携まで一気通貫で扱えます。米国ではGTMエンジニアリングの中核ツールとして急速に普及していますが、日本のB2B営業で使う場合は「まず確認すべき観点」がいくつかあります。

Clayとは?日本のB2B営業で使えるのか

Clayとは、データエンリッチメントとGTM(Go-To-Market: 市場開拓)ワークフロー自動化のプラットフォームです。100以上のデータプロバイダーを統合し、リスト作成からエンリッチメント、スコアリング、アウトリーチ連携まで一気通貫で扱えます。米国ではGTMエンジニアリングの中核ツールとして急速に普及していますが、日本のB2B営業で使う場合は「まず確認すべき観点」がいくつかあります。

Key Takeaways

  • Clayはデータエンリッチメントとワークフロー自動化のプラットフォーム。100以上のデータプロバイダーを統合し、リスト作成・エンリッチメント・スコアリング・アウトリーチ連携が可能(Clay公式サイト, 2026)
  • GTMエンジニア求人は前年比340%増と急成長。この普及の背景にあるのがClayのようなGTMエンジニアリングツールだ(Clay『State of GTM Engineering』, 2026)
  • 主要機能は2つ: Claygent(Webを自律巡回するAIリサーチエージェント)とWaterfall Enrichment(複数データソースを自動切り替えで照会する方式)
  • 日本のB2B営業での利用は、①国内データのカバレッジ ②既存ツールとの接続 ③日本語文面の品質 ④社内の設計者という4つの観点で事前検証が必要
  • ツールより先に「使いこなせる人材」が要る。日本にGTMエンジニア人材がほぼ存在しないことが、最大の構造的制約だ

Clayの定義と位置付け

GTMエンジニアリングとの関係

Clayは、GTMエンジニアリングを実行するためのプラットフォームです。GTMエンジニアリングについてはGTMエージェントとは?GTMエンジニアをAIで代替する仕組みで詳しく解説していますが、かんたんに言えば「営業ターゲティングからアウトリーチ実行まで、自動化システムを設計・構築する方法論」のことです。

米国では「GTMエンジニア」という職種が急成長しています。求人は前年比340%増(Clay『State of GTM Engineering』, 2026)。この職種の人たちが業務で最もよく使うツールがClayです。

ただ、「Clayさえあれば営業が自動化できる」という理解は少し違います。Clayはあくまでプラットフォームで、どう設計して動かすかは使う側の判断と経験に依存します。GTMエンジニアという職種が急成長しているのは、「ツールを使いこなして設計できる人材」への需要がそれだけ高いということです。ツールと人材はセットで考える必要があります。

「量で勝負」から「データで絞る」へ

ClayがGTMエンジニアリングの文脈で語られる理由は、営業の前段工程を変えているからです。

従来の営業では、広いリストを作って片端からアプローチするのが「量で勝負」でした。Clayの発想は逆です。複数のデータソースから情報を重ね合わせ、「今アプローチすべき相手」を精度高く特定する。アプローチ数を増やすのではなく、質を上げる。その実行環境がClayです。

日本のB2B営業でも、ターゲットを絞り込んで決裁者に直接届けるアプローチへの関心は高まっています。Clayがどう機能するかを理解した上で、自社に合うかを判断するのが現実的です。

Clayの主要機能

Claygent(クレイジェント)

Claygentは、Webを自律的に巡回するAIリサーチエージェントです。ターゲット企業や人物に関する公開情報を自動で収集・整理します。

企業サイト、ニュース記事、SNS投稿など、散らばった情報を人間の代わりに収集する。営業担当が手動でやっていたリサーチ作業を、Claygentが処理します。収集した情報をアウトリーチに使えるフォーマットに整形できるため、リサーチから文面生成の流れが短縮されます。

Waterfall Enrichment(ウォーターフォール・エンリッチメント)

Waterfall Enrichmentは、複数のデータプロバイダーを順番に照会し、情報が見つかるまで自動で次のソースに切り替える方式です。

メールアドレスを探す場合を例にすると、1つ目のデータソースで見つからなければ2つ目へ、3つ目へと自動で移行します。100以上のデータプロバイダーが統合されているため(Clay公式サイト, 2026)、単一のデータソースに頼るよりカバレッジが広い。人間が手動でデータソースを切り替えながら確認していた作業が、自動化されます。

スコアリングとアウトリーチ連携

収集・エンリッチしたデータをもとに、ターゲットを優先度付けするスコアリング機能があります。さらにHubSpot、Salesloft、Outreachなど主要なアウトリーチツールとの連携も可能です。

リスト作成からエンリッチメント、スコアリング、アウトリーチ実行まで一気通貫で扱えることが、ClayがGTMエンジニアリングの中核ツールと位置付けられる理由です。

日本のB2B営業で使う場合の検討観点

日本でのClay紹介記事の多くは「こんな機能がある」で終わります。でも実際に自社への導入を判断するには、もう一段踏み込んだ確認が必要です。

「使える/使えない」を安易に断定できない。以下の4つの観点がその理由です。

観点①: 日本語データ・国内企業データのカバレッジ

Clayは米国市場を主要対象として設計されています。統合されているデータプロバイダーの多くは英語圏のデータが中心です。

日本語の企業名、担当者名、役職情報がどの程度カバーされているか。国内中小企業の情報が実際に取得できるか。机上では判断できません。

導入前に試用して、自社がアプローチしたい企業リストでのデータ取得率を確認することが現実的な第一歩です。公式サイトで最新のプランと試用条件を確認してください。

なお、日本企業のデータを狙うなら、国産の選択肢も併せて検討する価値があります。国内には、購買意欲の高い企業をWeb行動データから特定するインテントセールス型の Sales Marker や、企業データベース型の SalesNow といった、国内企業データに強い国産ツールが存在します。海外発の Clay は機能の幅が広い一方で、日本語データや国内企業DBのカバレッジは自分で確かめる必要があります。どちらが向くかは、狙う企業層とデータの取得率を試用段階で比べて決めるのが確実です。

観点②: 国内企業DB・名刺/SFAツールとの接続

日本のB2B営業では、Sansan、Eight、Salesforce、HubSpotなど国内で普及しているツールがすでに動いていることが多い。

ClayがこれらのツールとAPI連携できるか、または既存の顧客データをClayに取り込んで活用できるかは、導入前に確認が必要な項目です。既存のデータ資産が使えない場合、Clayの効果は限定的になる可能性があります。

観点③: 日本語アウトリーチ文面の品質

日本のB2B営業では、不自然な敬語やニュアンスのズレが「信頼性の欠如」と受け取られます。文法が正しくても、業界慣習を外れた文体は読み飛ばされる。

AIが生成した日本語文面をそのまま送ることには、現時点では慎重さが必要です。Clayでデータを整えた上で、文面生成の部分は別途工夫が必要になるかもしれません。AI SDRとは何かでも触れていますが、英語圏設計のツールが日本語ビジネス文書で要求される精度を出せるかは、実際に試してみるまで分からない部分が残ります。

観点④: 社内に設計できる人材がいるか

正直に言うと、これが最も大きな観点です。

Clayは「ノーコード」とされていますが、実際に使いこなすにはデータ構造の理解、API連携の知識、ワークフロー設計の経験が必要です。米国でGTMエンジニアが最速成長職種になっているのは、「Clayを設計できる人材」への需要が爆発しているからです。

日本にはGTMエンジニア人材がほぼ存在しません。「ツールを導入したが誰も使いこなせなかった」状況に陥るリスクは、日本企業では特に高い。

向くケース / 向かないケース

観点向くケース向かないケース
ターゲット市場英語圏・グローバル企業が主戦場国内中小企業のみにアプローチ
社内スキルAPI連携・データ処理・ワークフロー設計ができる人材がいる営業ツールをそのまま使うだけで精一杯
既存データCRMやリストが整理されていてエンリッチメントで補強したい名刺すら整理されていない段階
文面生成英語文面、または文面は別ツールで対応できる日本語文面をClayだけで完結させたい
目的データの整備・クレンジング・エンリッチメントが主目的営業代行の機能を丸ごと置き換えたい

向かないケースが複数当てはまる企業は、Clayの導入より先に整えることがある。設計者の確保、データの整備、日本語特化のアウトリーチツールの検討といった手前の工程です。これを飛ばして「とりあえずClay」は、コストを生んで成果を生まない可能性が高い。

Clayの課題と限界

ツールより先に「設計者」が必要

Clayの導入が期待を下回る事例で多いのは「ワークフローを設計できる人がいなかった」パターンだ、と筆者は見ています。

GTMエンジニアの求人が前年比340%増という数字は(Clay『State of GTM Engineering』, 2026)、Clayを使いこなせる人材がそれだけ希少で価値が高い、ということでもあります。日本にはその人材がほぼいない。

GTMエンジニアとAI SDRの役割の違いでも触れていますが、ツールと設計者はセットで考えないと机上の話に終わります。契約することと、成果を出すことは別の話です。

日本語データのカバレッジは公式に明示されていない

Clay公式サイト上の100以上のデータプロバイダーが、日本語・日本企業のデータをどの程度カバーしているかは、現時点で公式に明示されていません。

「使ってみたら日本企業のデータがほとんど取れなかった」というリスクを想定して、小規模に試すことが現実的な進め方です。全社展開の前に検証フェーズを設ける価値があります。

「データの自動化」は「営業の自動化」ではない

Clayが自動化するのは「データの収集・整理・エンリッチメント」の部分です。営業の前段工程を効率化することと、営業全体が回ることは同義ではありません。

クロージング、商談、信頼構築は人間の仕事として残ります。「整ったデータをどう活用するか」は引き続き人間の判断が要る。Clayを使えば売上が上がる、という理解は過大評価です。

よくある質問

ClayはノーコードといいますがITスキルがなくても使えますか?

「ノーコード」と称していますが、実際にはデータ構造の理解やAPI連携の基礎知識が必要です。エクセルとメールが使える程度のスキルで本格運用するのは難しい(と言うより、ほぼ無理です)。ある程度のITリテラシーを持つ担当者がいるか、設計を外部に委託する前提で使うのが現実的です。

日本語の営業文面はClayで生成できますか?

Claygentを使って日本語情報の収集・活用は可能ですが、日本語アウトリーチ文面の品質については現時点で公式情報が少ない状況です。日本語文面をそのまま使う場合は、導入前に必ず品質をテストで確認してください。英語圏設計のツールが日本語ビジネス文書で要求される精度を出せるかは、試してみないと分かりません。

Clayの料金・費用はどのくらいですか?

利用量や機能によって異なります。公式サイトで最新のプランを確認してください。

GTMエージェントとClayはどう違いますか?

Clayはプラットフォーム(ツール)で、GTMエンジニアリングを実行できる設計者が使います。GTMエージェントはそのワークフロー全体をAIが担う仕組みです。詳細はGTMエージェントとは?GTMエンジニアをAIで代替する仕組みで解説しています。Clayを設計できる人材が社内にいない場合は、GTMエージェント型のサービスの方が現実的な選択肢になるケースがあります。

まとめ

  • Clayはデータエンリッチメントとワークフロー自動化のプラットフォーム。100以上のデータプロバイダーを統合し、リスト作成からアウトリーチ連携まで一気通貫(Clay公式サイト, 2026)
  • Claygent(AIリサーチ)とWaterfall Enrichment(自動データソース切り替え)が手動リサーチの代替として機能する
  • GTMエンジニア求人が前年比340%増という事実は、Clayを「使いこなせる人材」の希少性を示している(Clay『State of GTM Engineering』, 2026)
  • 日本のB2B営業での導入前に確認すべき観点は4つ: 国内データカバレッジ、既存ツールとの接続、日本語文面の品質、社内設計者の有無
  • 向いているのは英語圏が主戦場の企業か、社内にデータ・API設計ができる人材がいる企業。そうでない場合は、手前に整えることがある

Clayを導入するかどうかより先に「自社にGTMエンジニアリングの設計者がいるか」を問う。その問いが、ツール選定より本質的だと筆者は見ています。設計者がいない状況でGTMエンジニアリングの恩恵を受けたい場合は、GTMエージェント型のサービスも検討の選択肢になります。

Clayとは、データエンリッチメントとGTM(Go-To-Market: 市場開拓)ワークフロー自動化のプラットフォームです。
伊藤 祐助
伊藤 祐助 — Yusuke ItoGSS研究所 代表取締役 / Realrise CCO。営業成果は「才能」ではなく「構造」で決まるという思想で、GTMエージェントを開発。

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